デザインコンペ2017入選作品

  入選作品

ごきんじょづきあい

加藤 雄介さんコメント

加藤雄介です。ひとり暮らし世帯の増えている今日において、お隣さんの名前も知らないような人間関係の希薄さというのは、災害時には大きな危険に直結すると考えます。そこで私は、以前から日本にあった「ごきんじょづきあい」、たとえば調味料を貸し借りするような「ごきんじょづきあい」を誘発する仕掛けを都市の中にはめ込み、そういった関係性が災害時にはそのまま心強い持ちつ持たれつの関係となる仕組みを構築しました。

協会メンバーコメント

街の中に部屋という用途を点在させてシェアハウスとして利用するという新しい提案です。自ずと町に出歩くことになり、いざというときは共助が生まれる。今回のテーマとは離れているが、将来的な展望が望めるように感じました。

雁木の連なる風景

仙台カテナチオ:金箱 彰さん+神谷 将大さんコメント

東北大学の金箱彰と後輩の神谷で作品をつくりました。
ぼくは修士の研究で、去年発生した糸魚川の大火の跡地で、被災した人たちに実際話を伺う機会がありました。そこに住んでいた人たちはその場所に思い入れが深く、何代も住み繋いできたこの場所で、火災のあった後も暮らしたりお店をしたいという話をされていました。ですが実際は家が全部燃えたりなど、なかなか再建のきっかけの見通しが立たず、住み続けることができないことが多く、時間が経つにつれて人が離れていってしまう現状がありました。そのようなことを受けて今回、同じ新潟県で、糸魚川市と建築や地域の特徴の似ている上越市の高田を対象の敷地として計画をしました。計画内容は、実際に火災が起きたり様々な災害が発生した後に、その場所に復興するきっかけや、そのまま住み続けられるようなきっかけを持たせる建築を計画しました。

協会メンバーコメント

災害後のくらしが楽しく描かれ、復旧・復興がスムーズに行うことができる。スムーズに復旧された“雁木の連なる風景”は、そこに暮らす人々の拠り所にもなることでしょう。日常の暮らし向上の提案があると更に良かったと思います。

暮らしの真中

加藤 慎也さんコメント

日本大学の加藤慎也です。
家の中心となる場所が暮らしの中心、また災害時の中心となっていく、そういった機能を持ちながらも、そこに住む人々にとって居心地のいい場所はどうしたら生まれるのか、そういったことを考えながら今回設計を考えさせていただきました。

協会メンバーコメント

収納をコアとした光や風が抜けるスペースが日常的に暮らしの中心となり、災害時には家族の身を守ってくれる空間となる。いつもともしもが隣り合わせで存在する空間となるだろう。少し手を加えることで、更に日常の暮らし良さが生まれそうです。

からをまとうすまい

一に:一関 崇裕さん+小西 恵一さんコメント

一関崇裕と申します。
今回は造形の方に中心をおいてやりました。計画地はカナダのノバスコシア州というところで、私は実際こちらの方に留学しており、その経験を元にこの造形に至りました。例えば北東側から強風が来るのでそちら側の防風を考えたり、積雪量が年間通してだいたい1メートルなのでその分地盤を上げる、また海に近く大体70cm位の増水が認められるところなのでその分地盤を上げる、といった配慮をした結果の造形になっています。その地域に合わせた形をつくることによって、今後もフェーズフリーな建築を作っていきたいと考えています。

協会メンバーコメント

周囲の環境から生まれた美しい造形が、普段の生活にどのような楽しさをもたらしてくれるのか、想像が膨らむところです。地熱などの自然エネルギーを用い環境に配慮しており、常に自然を意識して生活を営むと思われるが、日常の暮らしの楽しさをが伝わってくると更に良かったと思います。

「家の間」がある暮らし

平間裕大さん+村岡祐美さんコメント

日本大学今村研究室の平間と村岡が、出品させていただきました。「家の間」がある暮らしということで、自分たちが生まれてから今まで持っていなかった人と人とのつながりというものを、どうやったら家の中でできるのかということを考えました。まだ聞き馴染みのないフェーズフリーという考えを、自分たちなりにひたすら考え、解釈してやらしていただきました。「家の間」が今後ももっと使われていくような提案ができるように、自分たちで考えていきたいと思います。

協会メンバーコメント

部屋の周りにオープンスペースを設けることで、居場所がたくさんでき、子供たちも走り回ることができる。夢のある暮らしですが、実現性を考えると少々生活しにくそうな一面もあるように感じます。もしも実現することができたなら、災害拠点としても心にゆとりを与えてくれそうです。

拠点の家

皆川 龍さんコメント

皆川龍です。この作品をつくるうえで、自分が今まで生きて経験してきたことが元になっています。生きてきた23年間のなかで、大きい地震に三回会いました。中越地震・中越沖地震・3.11です。新潟県魚沼市で生まれたのですが、三回の地震すべてそこで遭遇しました。その際に車中泊をしたのですが、いつもの暮らしから車中泊になって、その時感じたことをこの作品に込めました。

協会メンバーコメント

災害等で家の中が散乱したとしても中庭があれば、そこで家族のプライバシーを守ることができる。体験から生まれた提案はとても訴えかけてくるものがあります。屋外に生活の場を移す空間があるということは、普段から楽しい暮らしが想像でき、いざという時の安心感が生まれることでしょう。

少しのローテクと自給自足の家

川辺 晃さん+石田 桂一郎さんコメント

櫂建築設計事務所の川辺と申します、同じく石田と申します。
3.11の東日本大震災の直後、5月上旬に、女川、石巻に二人で視察に行きました。今でも憶えているのですが、カメラも向けられなかったような状態でした。あれから6年、今年の冬の消防の方の講演会で、人間には災害から目を背ける本能があると聞き、なるほど私もだと思いました。同じくして「フェーズフリー住宅コンペ」を知り、平常時でも災害時でも安心で心地よい住まいの提案に共感、参加することにいたしました。小さな平屋のRCの丈夫な建物、非常時には在宅避難が可能。在宅避難時には土間や薪ストーブや家庭菜園での収穫が活躍する。少しのローテクが豊かな時間や空間をつくり、非常時にそれが役立つのではと考えてみました。このような建物を実際に建てることがもしできれば、大変おもしろいなあと思っております。

協会メンバーコメント

平常時と災害時の暮らしを要所ごとに比較して考えられており、フェーズフリーな暮らしが具体的に提案されています。RC壁式構造で考えられているため災害時の安心感はあるが、間取りが固定されてしまうので、暮らし方が限定されてしまう印象も受けました。間取りに可変性があるなど暮らしに巾ができると、更に良い提案になるのではないかと感じました。

8台の駐車場の横の家

 田中 将嗣さんコメント

<準備中>

協会メンバーコメント

駐車場という不確かな場所であるため、将来的にもまちかど広場として継続されるか少々懸念されます。8件の家が共同で駐車場を所有し、提案された内容が実現できれば可能性が広がると思います。

壁の間のストーリー

m&k:山崎 萌子さん+勝山 滉太さんコメント

<準備中>

協会メンバーコメント

個別の住宅提案ではないが、密集した町に防火壁ができることにより、そこに住む住民だけでなく、災害時に偶然居合わせた人にも、避難場所を誘導することができる。既存住宅にも施工することができそうなので、当面の延焼防止などに対応することができる提案内容だと思います。

九十九神の棲む家

吉田 聖さん+砂田 頼佳さんコメント

<準備中>

協会メンバーコメント

住宅提案とは言い難いが、現在増えている空き家問題を解決する糸口になり得る提案だと思います。実現するには所有権の問題も発生しそうですが、地域住民が協力して運営するなど仕組みづくりができれば、共同備蓄やみんなのシェアハウスとして活用したい建物となり、コミュニティづくりが育まれる可能性を感じます。

ことばの家

赤沼 慧美さんコメント

工学院大学の赤沼慧美(サトミ)といいます。日常生活を快適に過ごしながらも、震災の時にも役に立つ住宅ということで、今回「ことばの家」を出展させていただきました。経済学を学んでいまして、共助しあうという環境が、震災の時にもかなり重要になるとので、常日頃から言葉を交わしあえる空間を作っていこうということを今回のテーマとしました。部屋から出たらだれかと顔を合わせ言葉を交わし、話し合ったりできるような動線を組んだり、土間をつくることによって近隣住民の人との関わり合いができるようにと、空間を考えました。

協会メンバーコメント

空間構成がシンプルで分かりやすく、自然にことばを交わすことができる住まいを模索している。大空間の土間の活用方法や家族構成など、もう少し積極的な提案があると更に良かったと思います。

育てた木々が支える家

本多 健さんコメント

本多健建築設計事務所の本多と申します。実際に谷中にある昭和25年築の建物です。観光資源としての和室を残したいということと、一方で災害時の耐震性能を上げたいという相反することを、中をいじれないということで、外側にパーゴラを付けて耐震壁を設け、全体を持たせるという改修計画を行いました。一番大事なことは植物を育てる、日々水やりを1分でも2分でもやって、防災のために作ったものに触れることです。これが、実は減災に対して一番大事なのではないか、というのが私の中でのテーマであり、これをつくりました。

協会メンバーコメント

既存住宅の耐震改修を外部から補いつつ、自給自足、コミュニティの育成等、一つ手を加えることによって様々なフェーズを解決できる内容です。植物を育てることにより災害意識を高めることにつながり、日々の暮らしもより豊かになり、実際の様子が想像できます。この提案のようなシンプルで柔軟な発想での提案が、今後実用化されていくと良いと思います。

「まちの原風景」をつくる

吉田 晴香さんコメント

金沢工業大学から参りました吉田晴香と申します。
通常災害が起きたときに、地域の人々は学校に避難します。学校が避難場所なのは大人数を収容できることが理由としてあるのでしょうが、私は地域における町の原風景のようなものとして、学校があるのではないかと捉えなおしました。住宅にパブリックライブラリーを設けて、町の原風景として人々が集まる姿があるような住宅を提案しました。

協会メンバーコメント

住宅として上手にプライバシーを確保することができれば、地域の子供たちが集まってくるパブリックライブラリーとしての活用や、子育ての拠点にするなど、テーマである“まちの原風景”となり得る提案だと思います。空き家の利用や不要になった本を持ち寄るなど、住宅以外での可能性もあるように感じました。