松崎元賞 『浮かぶ家』

  松崎元賞 『浮かぶ家』

浮かぶ家_01

浮かぶ家_02

早川友和さん・益田賢一さんコメント

今年は幾度も災害が日本を襲いましたが、その中でも地震と豪雨による被害が多かったと感じています。
こうした中で、地震による家具の転倒や豪雨による浸水被害から私たちのくらしを守ると同時に日常の快適さを叶えるために私達は、床下収納と床下空間が生む家族と街のためのプラットホームという住宅「浮かぶ家」を提案しました。
まず一つ目として、住宅を4本の束ねた組柱によって持ち上げました。これによって、住宅の下に一つ目のプラットホームを作り、浸水の被害を予防するだけでなく豪雪地の雪止めとしても有益です。また、災害時には地域に開放する事が出来ます。
二つ目に、持ち上げた住宅の2階の床下に、収納や家具を収める事によって、その上に家族のための気持よい二つ目のプラットホームをつくる事が出来ます。
平面計画としては、この住宅を持ち上げている4本柱を束ねた組柱の隙間に構造用合板などの板材を差し込むだけで部屋に出来るなど、平常時家族構成の変化に対応可能な自由度の高い平面構成になっています。また、災害時にはピロティの隙間部分に布やビニールシートなど家にあるものを持ち込むだけで快適な避難所としても機能します。

松崎先生講評

フェーズフリーという概念を進めていく上で重視していることの一つに触発性があります。

住宅を一軒建物として設計して完成させただけで世の中がすべてフェーズフリーの状態になるかというと、それはなかなか難しいことです。私は、プロダクトデザインを専門としていますので、色々な家具や設備機器など、生活に関わる製品を含めてデザインしていくことでフェーズフリーな世の中を実現していこうとしています。

この住宅に関しましては、基礎の部分、構造、柱のあり方についてはまだまだ追及して行くべき所はあると思いますが、我々デザイン側がこの住宅で使える新しい家具をデザインしたり、新しい生活のための何かエレメントなどを構築していきたい、デザインしていきたいというように触発されるような可能性を感じたことが、賞に選んだ一つの理由です。さらに具体的な生活をする上での設計を追及して頂きたいと思います。