三井所清典賞『「光の塔」と「置き床」の家』

  三井所清典賞 『「光の塔」と「置き床」の家』

「光の塔」と「置き床」の家_01 「光の塔」と「置き床」の家_02

齋藤信正さんコメント

私は前回もこのコンペに参加させていただきました。
その時は、手入れが容易で復旧のしやすい土間というものを暮らしの中心に置いて、いつもともしもの暮らしの変化を少なくし、ストレスを軽減し、土間の可能性を提案しました。
今回はさらに1階の床というものが建築の構造上の影響を受けないということに注目して、土間の上に自由に床を作れる置き床を提案し、土間の可能性についてさらに考えてみました。
置き床は、床をつくるだけなく、椅子やテーブル・ベッドなどの家具にもなることによって、いつもともしものあらゆる場面で暮らしを豊かにすると考えています。
建築については、クラスター状の空間と真ん中に光の塔という形で構成しました。いつものライフスタイルの変化と多様な暮らし方に順応できるような空間を提案しました。

三井所先生講評

先程齋藤さんの説明にもありましたように、昨年に続いての受賞です。
土間をテーマに作品は提案されており、今年は土間に置き床をテーマに三世代が一緒に住む家を提案されています。各世代が平常時は明るく健康な生活ができるよう、非常時も光が入る空気が抜ける、土間をうまく活用することによって災害対応ができる。
土間というのは洪水が起こりやすい地域での住宅という前提なのです。
床下浸水・床上浸水にあっても、置き床をはずしてしまえば土間の清掃が速やかにでき、そのまま生活の場になり暮らしやすい。
7月の豪雨において、しっかりと布基礎で囲われた中に進水した水をどうやって処理するか、また断熱性の高い壁の中に水がしみ込んで…など大変新しい悩みが出てきています。
そういう意味でも一つの解決の方法を示しているこの作品を賞に選びました。