デザインコンペ2018 部門1入選作品

  デザインコンペ2018 部門1入選作品

まちリビングに集う地域のかなめ

大方利希也さんコメント

今回の提案は、高い壁面を持つまちリビングを住宅に挿入してそこがまちの映画館であったり、スポーツ観戦等が行えるような地域の人の集うスペースとして、この町のかなめになるのではないか、という提案です。そして、核家族の子ども達が巣立った後、老夫婦になった時に、シェアハウスとして転用して住む改修の提案もしました。家族の長い時間のスパンの中で住宅も変化していき、フェーズフリーのあり方も同時に変化していき、長い間住宅が使われ続けるように提案しました。

協会メンバーコメント

家という時間軸を考慮し家族構成の変化に伴い、シェアハウスに変化できるプランを提案。家の中に半公共の場としてまちリビングを設け、積極的にコミュニティの場として地域に開くことでフェーズフリー住宅を追及した提案です。

子育て世代の「吹抜けぐるぐるプラン」によるオルタナティヴユースの家

井坂幸恵さん・大塚悠太さんコメント

今回の提案は茨城県日立市に建つ実際の住宅を提案させていただきました。フェーズフリーの要件としましては、1つ目は、平常時にいつでも快適に過ごせるように、吹抜けに全室が面していて、こどもが見わたせるプランとすること。2つ目は長期優良住宅に適合させることで、強固な骨格を作りかつ省エネを担保するということ。3つ目は日立市ということで、東海村原発から10キロ圏内になるので地下に倉庫を有したシェルターを用意すること。これは一般的な住宅においてのフェーズフリーを提案しました。

協会メンバーコメント

実際の建物での提案ということで難しい点もあったかと思いますが、良く考えられていると思います。これからもこのような実作での提案が増えることを希望します。

薪で警鐘 まちのストレージとなる家

野尻勇気さんコメント

今回、私は、薪をテーマにフェーズフリーな住宅を考えました。近年、森や雑木林の循環は滞りつつあります。薪の使用は、生活のため、そして地球に順応するために考えられた先人の知恵であり、今もなお生活に取り込まれています。しかし、都会人にとって、それは馴染みあるものでは無くなりました。薪の使用で様々な問題を抱えることは間違いありません。しかし、煙の排出量など改善されていることもあり、災害が多い日本の都市部において、これからは薪を中心に、災害時にも対応でき、町の顔となるような住宅が必要だと考え、このような提案をさせていただきました。

協会メンバーコメント

街に向けて薪のスクリーンをつくり、間伐材の薪利用をはかることで、森林問題を地域に提唱しながら、家族も薪がある暮らしを楽しむ。災害時には中庭と中庭に面したリビングを地域に開放し、薪利用を共有することでフェーズフリーな暮らしを提案されています。

熟成界隈

殿村健太朗さんコメント

今回、フェーズフリーというテーマに対して食というテーマで応えたいと思い提案させていただきました。
街において住宅と近隣住民をつなぐ手法として、カフェやレストランといった食事にまつわるものを、住宅と都市の境界に配置する事例が増えつつあります。食というものが持つ、人をつなげるという力を無意識的に使っていると考えられます。
そして、食というものは日常・非日常に関わらず、生きている以上、私たちが必ず関係のあるテーマだと考えました。現在の都市型住宅において食の空間は内部に隔離されていますが、住宅におけるダイニングとキッチンの立ち位置を再考することで、フェーズフリーな住宅を提案しました。

協会メンバーコメント

昨今増えている単身者や二人暮らしの生活に対して「食」を中心にしたシェアハウスでフェーズフリーな暮らしを提案。単身者での暮らしでは、希薄になりがちなコミュニティや近隣関係の問題解決を図っています。家族の変化に応じた暮らしの提案もみてみたいと感じました。

「ゲンサイ」ハウス

川口昂史さん・白松楠さんコメント

人々はかつて「減災」の知恵を用いて、川と共生する水系社会を実現していました。しかし、大規模な治水整備により、人が物理的・心理的に川から遠ざかる現代では、水害文化は失われつつあり、水害に対する意識は著しく低下しています。対象地とした桂川は、古くから暴れ川として知られており、その流域には多様な「減災」の知恵が宿っています。先人の創意である「減災」の知恵を活かすことで、水害に備え、川と人との関係性を再興する住宅を提案しました。

協会メンバーコメント

地域における過去の減災の知恵を活かし、災害を忘れずに暮らすとともに、日常的に水辺の暮らしを楽しむことを提案されています。モニュメント的な要素が強いようにも感じましたが、ここでの日常の暮らしの楽しさの提案があると良かったと思います。

めくれた屋根が守る家

後藤真さん・冨部尚さんコメント

私たちは広島で設計活動を行っています。広島では最近でも豪雨の土砂災害がありましたが、過去にも起こっており、この土砂災害を考えて住宅を設計しました。屋根が土砂をせき止めるようにめくり上げています。そうすることで自然を取込み、土砂から家や地域を守ってくれます。災害後には、洞窟のような土砂に覆われるような形になって、気密を利用した生活ができます。災害が起こるとマイナスのイメージがあると思うのですが、こういった土砂に覆われて地熱を利用したプラスの要因があるとこで、災害のイメージを変えてくれるフェーズフリー住宅を提案しました。

協会メンバーコメント

実際に土砂災害により被害を受けた地域を題材にその場所の特性を考えながら、シンプルながら大胆な発想で、フェーズフリーを実現しようと試みている案だと思いました。土砂災害さえも利用し、災害を恩恵に変えようという挑戦をおこなった提案です。

House Save Life

崎田森平さんコメント

フェーズフリーという自分の中には無かった概念に触れ、一つの成果を出せたことは今後の人生の中で役に立つものと確信しています。

協会メンバーコメント

シンプルな着想、提案で的を得ています。1階は寝室や子供部屋などの個室、2階はLDKの構成は構造的に安定し、二方向避難を確保し、地震や火災に対応しています。また、幅広の外階段や庭先開放により地域のコミュニケーションの場にもなり、日常の豊かな会話が災害時の助け合いへと自然につながる様子も想像できます。

助け合いの住宅

小松慎悟さんコメント

今回の提案をするにあたって災害時における住宅の問題点として、実際に被災した友人に聞いてみたところ、外部の住宅や周辺地域住民との雑談がないのが一番困っている事だったので、4つの住宅を一つのユニットとして考え、その住宅が普段から4つの住宅同士で交流を持ち、災害時にはそこを災害拠点として使えるスペースを設計しました。又住宅のライフプランとしては、目線や声の通りを意識したプランニングと又すべて同じ設計プランとなっているので、災害後の住宅の修繕や建設の際には住んでいる住宅の人達が助け合って災害救出できるのではないかと思い、提案させて頂きました。

協会メンバーコメント

4軒で共有する中庭が住居間のコミュニティスペースとなっています。この様に複数の住宅が敷地境界線の塀をなくし共有する中庭は豊かな生活をもたらします。またそれらが地域に点在する事で広がりのある展開が期待されます。